伝説が息づくブリテン諸島

伝説が息づくブリテン諸島

現実の境界線を越える旅へ

ブリテン諸島には、波に揺られ、あるいは様々な民族の手によって語り継がれてきた、数世紀にわたる神話や伝説が息づいています。存在を証明する証拠がなくとも、今なおその名を囁かれる不思議な生き物たちがいます。ここが『ハリー・ポッター』物語の誕生の地であり、カルト的人気を誇るドラマ『ゲーム オブ スローンズ』の舞台となったのも不思議ではありません。さあ、想像力をかきたてる旅へと出かけましょう。

 

コーンウォールのピクシーと魔法の生き物たち

野生の面影を残すコーンウォール地方を旅するなら、「ピクシー(小妖精)」にはご用心。特にドルメン(支石墓)やメンヒル(立石)のそばを通るときは要注意です。このおどけたいたずら好きの妖精は、小さな男の子のような姿をしており、イングランド全土や周辺の島々にある古代遺跡に住んでいると言われています。彼らは巨大な石碑の間で踊ったり遊んだりするのが大好きです。
ファンタジーの金字塔『指輪物語』の著者、J.R.R.トールキンの故郷であるこの地には、一つ、あるいは複数の石のブロックで構成された先史時代の遺構が数多く残されています。最も有名なのは「ストーンヘンジ」でしょう。巨大な直立石が描く外側の円と、それを取り囲む内側の小さな円。このユネスコ世界遺産は、太陽を祀る神殿や聖域であったと考えられていますが、その謎は今も完全には解明されていません。
ブリテン諸島には、細長く切り立った巨大な石が並ぶ、神秘的な聖域が他にも存在します。例えばカンブリアにある「ロングメグと娘たち」は、69個の石からなる青銅器時代の遺構です。伝説によれば、これは魔術師によって石に変えられた魔女の集団だと言われています。この物語は、海辺のリゾート地ペンザンスの丘にあるストーンサークル「ボスケドナン」の伝承とも重なります。

アイルランド:ファンタジー映画とドラマの舞台

アイルランドにも、神話や民話に登場する生き物が溢れています。バンシーやグロゴッホ(半分人間、半分妖精)と並び、最も象徴的なのが「レプラコーン」です。緑色の服に高い帽子をかぶり、ビールをこよなく愛するこのいたずら者は、金貨の入った壺と宝物を持っていると言い伝えられています。
時が経つにつれ、アイルランドの人々は聖パトリックのシンボルであるシャムロック(三つ葉のクローバー)を、幸運やレプラコーンと結びつけて考えるようになりました。3月17日の聖パトリックの日にアイルランドを訪れるなら、ぜひ緑色のものを身にまとってください。
超自然的な存在が息づくアイルランドは、必然的にファンタジー映画やドラマのロケ地に選ばれてきました。映画『ハリー ポッターと謎のプリンス』の一場面は、クレア県にそびえ立つモアーの断崖にある、暗く岩だらけの洞窟で撮影されました。
また、『ゲーム オブ スローンズ』の多くのシーンが北アイルランドで撮影され、主人公ジョン スノウと共に戦い散っていった兵士たちの多くは、地元のエキストラが演じました。その元エキストラの一人は現在、不気味なブナの並木道「ダーク ヘッジズ(劇中の王の道のモデル)」など、物語の象徴的な場所を巡るガイドツアーを行っています。一方、ベルファスト北部に広がる緑豊かなシラナボギー渓谷は、遊牧民族ドスラク人の居住地の背景となりました。第1シーズンで、デナーリス ターガリエンが「カリーシ(部族の女王)」であり「竜の母」としての運命を受け入れ始めたのは、まさにこの場所なのです。 

スコットランド スカイ島で「ジュラシック パーク」を発見

神秘的なスコットランドのハイランド地方。そこにあるネス湖には、巨大な翼を持つ爬虫類が棲んでいると言われています。その伝説は565年にまで遡り、あるアイルランド人の修道士が十字架の力で水龍を湖の深淵へと追い返したと主張したのが始まりです。それから数世紀後の1933年、ロンドンから訪れたジョージ スパイサーもまた「龍、あるいは先史時代の動物」を見たと証言しました。
怪物の有無にかかわらず、ネス湖周辺には、古代の松林、ヘザーに覆われた荒野、きらめく湖、緑豊かな谷、滝、そして牛や羊が草を食む牧草地など、素晴らしい景色が広がっています。点在する屋敷や廃墟、そして(時には幽霊が出ると噂の)城も見逃せません。
しかし、「百聞は一見に如かず」という言葉を信じるなら、スカイ島へ足を伸ばしてみてください。スコットランドで最も美しい島の一つであるこの海岸線で、古生物学者たちは無数の恐竜の足跡、歯、そして巨大な骨を発見しました。2017年には、スコットランドの博士課程の学生アメリア ペニーによって「ジュラ紀最大の翼竜」の化石が発見されました。翼を広げると2.5メートルを超えるというこの化石は、極めて貴重な発見です。その翌年には、体長40メートルにも及ぶ竜脚類の足跡が初めて発見されました。
……あるいは、それは本当にドラゴンが残したものだったのかもしれません。

 

紹介をした場所だけでなく、ポナンの地中海を巡るコースの一覧はこちらからご覧いただけます。

ポナンでゆく英国・北欧コース一覧

[英語版サイト]北ヨーロッパコース一覧

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