スピッツベルゲンの野生動物たち

スピッツベルゲンの野生動物たち

ホッキョクグマ、トナカイ、クジラ、セイウチ…

スヴァールバル諸島の手つかずの自然が広がる大地、空、海は、極限の環境に適応した魅力的な動物たちの楽園です。極地の生物多様性の宝庫、スピッツベルゲン島の野生動物たちをご紹介します。

 

凍てつく大地の支配者たち

スヴァールバル諸島の厳しい気候に適応して暮らす陸生哺乳類は、ホッキョクグマ、スヴァールバル トナカイ、ホッキョクギツネの3種類だけです。

ホッキョクグマ:北極の孤高の王者

スピッツベルゲン島の流氷の上には、ホッキョクグマが堂々と君臨しています。荒々しい北極の象徴であるこの逞しい捕食者は、広大な氷原を渡り、アザラシを追い求めることに多くの時間を費やします。分厚い白い毛皮の下には、保温性の高い皮膚があり、過酷な気候に耐えています。自然の生息地で彼らの姿を垣間見ることは、自然の力に感動する、忘れられない瞬間となるでしょう。

スヴァールバル トナカイ:ツンドラの放浪者

この動物は、何千年も前からスヴァールバル諸島を闊歩してきました。大陸のトナカイよりも小型で、ずんぐりした体、分厚い毛皮、そして大きなひづめを持つこの丈夫なトナカイは、北極の気候に完璧に適応しています。彼らは大きな群れではなく、地衣類を探してツンドラを単独で移動することを好みます。中心地のロングイヤービエンで見かけることも珍しくありません。

ホッキョクギツネ:サバイバルの達人

この動物は200年以上も狩猟の対象とされてきましたが、今も力強く生きています。内気なホッキョクギツネは、夏の訪れとともに白い冬毛を脱ぎ、茶色や灰色に変わります。生まれつきの慎重さと、どんなチャンスも見逃さない賢さを持つこの小さなキツネは、ホッキョクグマのおこぼれを狙ってこっそり近づくことさえあるのです。

 

北極の翼たち

スヴァールバル諸島は、北大西洋で最も豊かな野鳥の生息地の一つです。夏になると、何十万もの海鳥や渡り鳥が外洋から戻り、切り立った崖や岩に巣を作り、繁殖します。

キョクアジサシ:極限の冒険家

キョクアジサシは毎年、南極で南半球の冬を過ごすために、南極大陸まで渡ります。その距離なんと14,000キロメートル。これは渡り鳥の最長記録です。そして繁殖のために再び北極圏の高緯度地域へと戻ってくるのです。スピッツベルゲン島の空は、彼らが繰り広げる壮大な空中バレエの舞台となります。細長いシルエットの鳥たちは、鋭い鳴き声を上げながら巣の周りを旋回し、侵入者に対して急降下攻撃を仕掛けます。忘れられない光景となるでしょう。

ニシツノメドリ:崖のピエロ

美しくカラフルなくちばしを持つニシツノメドリは、「海のオウム」という愛称で親しまれています。白と黒の羽毛と鮮やかなオレンジ色の脚を持つこの海鳥は、空を飛ぶよりも水中で過ごすことを得意としています。最大60メートルの深さまで数分間潜水できる、まるでペンギンのようなこの鳥は、ほとんどの時間を外洋で過ごします。繁殖期には、本土の険しい崖の隙間に入り込んで身を寄せ合います。コロニーに近づくのは簡単ではありませんが、この愛らしい「小さなピエロ」との出会いは、心を揺さぶられる体験となるでしょう。

ユキホオジロ:極北の歌い手

雪が溶ける前に温帯の越冬地を離れ、スピッツベルゲン島へとやってくるユキホオジロは、この群島で唯一のスズメ目鳥類です。控えめながらも美しい歌声を持つこの鳥は、つかの間の北極の夏に、岩とツンドラの風景を力強く美しい歌声で彩ります。

 

海の王者たち

スヴァールバル諸島には、極めて多様で魅力的な生き物たちが豊富に生息しています。氷の海で驚くほど容易に適応し、進化を遂げた彼らの姿は、この極地における海洋生物の多様性と回復力の高さを物語っています。

シロイルカ:おしゃべりな白いイルカ

シロイルカは、スピッツベルゲン島の氷海で絶対に見逃せない動物です。非常に社交的で、群れをなして生活し、狩りや回遊を行います。別名「シロクジラ」とも呼ばれ、水中で口笛のような音やうなり声など複雑な鳴き声を発することから、「海のカナリア」とも呼ばれています。洗練された彼らの声のレパートリーは、「メロン」と呼ばれる頭部の器官から生み出され、仲間とのコミュニケーションや氷の下をスムーズに移動するのに役立っています。

セイウチ:海岸の偉大な賢者

大きなヒレ、長いヒゲ、そして1メートルにもなる牙を持つセイウチは、すぐに見つけることができます。スピッツベルゲン島の巨人であるセイウチは、ホッキョクグマも手を出さない数少ない海洋哺乳類の一つです。流氷の上や、夏には氷や雪のない緩やかな陸地の斜面、貝類が豊富な浅瀬の近くに集まって堂々としたコロニーを作り、日光浴をします。威厳がありながらも穏やかな彼らの姿は、静かな力強さを感じさせ、見る者を魅了します。

ワモンアザラシ:深海の達人

スピッツベルゲン島にはアザラシが豊富に生息しており、中でも最も広く分布しているのがワモンアザラシです。銀灰色の毛皮に特徴的な輪状の斑点があることからその名が付けられ、氷の上では完璧に溶け込みます。ワモンアザラシは素早く、警戒心が強い動物ですが、流氷の間を器用に泳ぎながら餌を探し、自分で氷に穴を開けて呼吸をします。流氷の上で休んだり繁殖したりするため、ホッキョクグマの大好物でもあります。彼らは人懐っこく、好奇心旺盛な生き物なので、辛抱強く静かにしていれば、海で出会えるかもしれません。

 

スピッツベルゲン島はどこにある?

北極圏のすぐ外側、ノルウェーのノースケープと北極点の中間に位置するスピッツベルゲン島は、スヴァールバル諸島の中心となる島です。

 

紹介をした場所だけでなく、ポナンの地中海を巡るコースの一覧はこちらからご覧いただけます

ポナンでゆく北極コース一覧

[英語版サイト]北極コース一覧

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